#6子連れ登山: 白駒池~高見石~北横岳 2歳9ヵ月 ”初のテント泊”

子連れ百名山

紅葉を求めて北八ヶ岳に行きました。

今回の山行が、我々にとって初めてのテント泊となりました。

1日目は白駒池にテントを設営し、高見石まで。

2日目には北八ヶ岳ロープウェイを使用して北横岳を登頂しました。

白駒池一帯の紅葉は大変美しく、テント泊にしたおかげで夕暮れ、早朝などの光景をゆっくり楽しむことができました。

山行データ

No.6 北横岳
エリア:八ヶ岳
行動時間:約3時間15分
歩行距離:約3.7km
標高差:238m
累積標高差:△291m・▽291m
コース定数9
ジュニア体重13.1kg
アクセス:北八ヶ岳ロープウェイ駅駐車場(無料・600台)/中央線「茅野(ちの)」駅からアルピコ交通バス「北八ヶ岳ロープウェイ」行きにて約60分
お得情報:モンベルクラブ会員特典(ロープウェイ往復乗車券大人200円引き)/JAF割引あり/イオンクレジットカード割引あり
トイレ:ロープウェイ駅及び北横岳ヒュッテにあり

白駒池から高見石へ

早朝からの大渋滞

紅葉の美しさで有名な白駒池を訪れることになりました。白駒池は、北八ヶ岳の中腹に位置する風光明媚な池です。

白駒池のほとりには、青苔荘(せいたいそう)という名の山小屋があり、テント場があります。この青苔荘は登山口となる駐車場から徒歩20分ほどで着くため、テント泊をするにしても重い荷物を背負って山を延々と歩く必要がありません。我々は青苔荘にテント泊をして、白駒池の紅葉を楽しむことにしました。

とある秋晴れの土曜日、朝7時に白駒池駐車場を目指して車を走らせると、すでに満車で大勢の車が路肩に並んでいます。我々はここへの駐車を諦めて、さらに北に20分ほど走ったところにある八千穂高原スキー場に車を停め、そこから臨時のシャトルバスに乗ることにしました。恐るべきは紅葉時期の白駒池です…1時間のロスの末、再び白駒池駐車場に戻ってきました。テントや食料を詰め込んだバックパックを背負い、苔の森へと踏み出します。

苔の森

日本蘚苔類学会により「日本の貴重な苔の森」に指定された白駒池一帯の樹林帯。地表や岩を覆いつくすように苔が繁茂しており、非日常的な情景を作り出しています。

可憐に咲く苔のお花?
小さな世界のようです。

きれいに整備された木道を歩くと、20分ほどで青苔荘にたどり着きます。多数のお客さんが押し寄せ、対応で大忙しの青苔荘にてテント泊の受付をし、早速テントを展張。荷物をデポし、湖畔の散策に向かいます。

湖畔沿いの木道を歩く

高見石へ

青苔荘から歩いて10分ほどにあるもう一つの山小屋「白駒荘」でアイスクリームとコーヒーを頂いたのち、高見石小屋を目指して登り始めます。荷物のほとんどはテントにデポしてきたので楽ちんです。

青苔荘から白駒荘を経て、高見石を目指します。

苔や落ち葉、落ちている枝などに気を取られるジュニア。コースタイムは35分ほどの行程を1時間ほどかけてゆっくり進みます。登山道は狭いところもあるので、行き交う人とは譲り合い。ジュニアはいつしか「おさきにどうぞ~」と言って道を譲ることを覚えました。登山者の方々に褒めてもらい、心なしか誇らしげです。ただし、この「おさきにどうぞ~」は対向者がかなり遠方にいる段階から発生するので、我々の止まっている時間はかなり長くなります…

高見石小屋に到着しました。ここも紅葉目的の登山者でにぎわっています。名物の揚げパンは諦め、トイレだけ済ませて、裏手にある高見石に登ってみることに。高見石は大きな岩が折り重なってできた小ピークで、最上部からは白駒池を含む北八ヶ岳の風景が一望できます。大人にとっては、両手両足を使って慎重に登ればさほど難しくないポイントですが、ジュニアにとっては自分より大きい岩が立ち並ぶ超難所です。果敢に挑むジュニアを支えつつ、慎重に少しずつ上へと登っていきます。しばらく登るとその先には、先程までいた白駒池を臨む展望が開けました。改めて見ると、あんな遠いところからジュニアは歩いてきたのですね。2歳児が秘めるパワーには感心させられます。

高見石からの展望

しばらく眺めた後、白駒池へと戻ります。足取りも軽く、駆け足気味で下って行くジュニア。「走っちゃだめだよ」と声をかけると止まるも、その1分後にはまた駆け出すというのを繰り返していました。案の定、白駒荘を目前にした最後の下り坂で一回転して転ぶジュニア!おでこに擦り傷を負ってしまいましたが、泣かずに堪えています。水で汚れを落とし、「痛いの痛いの飛んでけ」をして対処完了

青苔荘に戻るころには、日帰りの利用者が帰ったことで人ごみは少なくなっていましたが、テント場はほぼ満員といった感じでした。

夕方にはテント場はいっぱいに

簡単クリームパスタで夕食

初めてのテント泊といっても、テント自体は今までキャンプで使用していたものと同じなので、ジュニアにとってはいつものキャンプと同じです。少し異なるのは、焚火台でBBQをする代わりに、バーナーを使って調理をすることくらいです。

本格的に夜を迎える前に食事の準備です。メニューは、コーン入りクリームパスタ。以下をクッカーに入れて煮込むのみです。

  • インスタント味噌汁
  • パスタ(あらかじめジップロックに入れて水に浸しておくと調理時間が短縮できます)
  • 水適量
  • ホワイトソースの素
  • ソーセージやベーコンなど
  • コーン1パック

コーンを缶ではなく紙パックのものにすると省スペースです。注意点としては、アルミクッカーだととにかく焦げやすいため、弱火調理とかき混ぜを徹底することです。パスタをゆでる水がそのままシチューのベースとなるため、水の量は多すぎないよう注意してください(かと言って少なすぎると焦げます)。鮭など追加するとさらにボリュームが出て美味しいのかなと思いました。

ジュニアはお腹が空いていたのか、パクパクとすごい勢いで食べていました。最後にクッカーでお湯を沸かして汚れをこそげ取り、インスタント味噌汁をもう一袋入れて飲み干し、クッカーもきれいに。

眠れない星降る夜

食事がすんだら、もう就寝準備です。ジュニアの歯を磨き、着替えをさせ、19時過ぎには準備完了です。しかし、ジュニアはなかなか眠りたがりません。そこでテントを全開にし、寝袋にくるんだジュニアの頭を太ももの上に乗せ、入り口から空を眺めさせました。日中出ていた雲はすっかり一掃され、見事な星空が広がっています。ジュニアはじっと星空を眺めており、しばらくすると眠りにつきました。この夜は、いくつも流れ星を見ることができました。私はこれまで流れ星を見た記憶がないので、感動しました。

この夜の気温は5度ほど。朝には湖面が凍結していたため、夜中は氷点下に達したものと思われます。我々が使っていた寝袋は、モンベルの「アルパインダウンハガー800 #3」(旧モデル)を、同じモンベルのクローズドセルタイプのマット「フォームパッド 120」に敷いて使っていました。スペック上、快適温度が6℃、使用可能温度が1℃となっており。寒がりの私には凍える夜となりました。今回、私だけダウンジャケットを忘れてしまったのですが、もしあればもう少し快適に眠れたのかもしれません。上下にダウンを着込んだ妻はよく眠れたそうです。

加えて、寝相の悪いジュニアに何度も起こされる羽目になります。ジュニアが寝袋から飛び出すたび、風邪を引くのではと気になって起きてしまい、その都度寝袋に収納しなおしています。寒さとジュニアのため、あまり寝付けぬ夜となりました。

凍てつく朝

6時頃にジュニアが元気に起床しました。外に出て、森の新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込み、朝食の準備を始めます。ジュニアは恐る恐る、バーナーの点火スイッチをカチカチとつけてくれました。お湯を沸かして温かいココアとコーヒーを作り、買ってきたパンで朝食を済ませます。その後は、湖畔を散歩。風がほとんどなく、白駒池の湖面はまるで鏡のように湖畔の風景を映していました。

鏡のような湖面。一部が凍結している


霧の北横岳へ

五里霧中の坪庭

朝霧高原スキー場の駐車場に戻った後、車にて次の目的地、北横岳の登山口となる北八ヶ岳ロープウェイへと向かいます。道中にある「八ヶ岳カフェ&ベーカリー Flora & Fauna」は週末のみ営業しているベーカリー・カフェで、店内ではパスタやハンバーグプレートなどのフードも提供しております。翌日のパンを買い込み、ランチを頂いてから、北八ヶ岳ロープウェイへ。

曇天の上、時刻も13時を過ぎているため、上りロープウェイにはほとんど人はいませんでした。帰りのロープウェイの時間をチェックし、霧に覆われた坪庭から出発します。

景色が見えなくても楽しく登山

登っている最中は常に霧に覆われて、残念ながら風景は全く見えませんでした。それでもジュニアは楽しそうに一生懸命歩いていきます。ジュニアにとっては、この霧に覆われているという状況が非日常的で楽しいのかもしれません。少し雲が多かったり、展望が悪かったりするとモチベーションが下がってしまう私にとって、ジュニアの前向きさには学ばされます。

時折抱っこをはさみつつ、ジュニアはぐんぐんと楽しそうに歩いていきます。自分の胸ほどもある岩も、両手両足を使ってぐいと乗り越えます。傾斜のきつい箇所は抱っこ紐で固定し、慎重にバランスを取りながら登っていきます。

濃霧の山頂、下山

北横岳ヒュッテを通り過ぎ、最後の急登を超えて山頂にたどり着きました。予想はしていましたが、濃霧で全く何も見えず、しかも強風が吹きすさんでいますそれでもジュニアは満面の笑顔です

少し標高を下げて樹林帯に入り、風を避けます。寒くないよう、私のレインウェアでジュニアをくるんで、しばしのおやつタイムです。

たべっこ動物

坪庭まで降り、傾斜がなくなるとジュニアは水を得た魚のように大はしゃぎで走り回っています。その様子を見たソロ登山のお姉さんが、声を上げて応援してくれました。坪庭を駆け抜け、あっという間にロープウェイ駅にたどり着きました。駅構内で名物のコケモモソフトクリームを食べてから下山です。ロープウェイ内でもは、ジュニアが北横岳に登頂したと聞いた老夫婦がしきりに褒めてくれました。

紅葉狩りテント泊のススメ

北横岳では天候に恵まれませんでしたが、今回は青苔荘を利用したテント泊をすることで、紅葉の白駒池を満喫することができました。特に、早朝の白駒池に鏡写しのようになった紅葉の鮮やかさはとても見事でした。

青苔荘は、渋滞さえクリアできれば駐車場からのアクセスが近く、テント泊デビューの舞台として最適かもしれません。今回は、我々の他にも幼児連れのテント泊登山者が2組ほどいました。荷物を置いて、人の少ない夕暮れや早朝の白駒池をのんびりと散策してみてはいかがでしょうか。