前記事に引き続き、本記事では我々が使用しているキャンプギアについて説明します。
今回紹介するのは、テント及び寝袋についてです。
家族連れではどうしても荷物がかさばりがちですが、子どもがいてもコンパクトなキャンプを志向したいという方は参考にしていただければ幸いです。
また、ここで紹介するギアは全て登山のテント泊でも兼用して使っているため、テント泊に興味がある方にも参考になるかと思います。
収納、焚火・調理関連については、以下の別記事をご覧ください。
ギア選びにおけるコンセプト
以前の記事でも紹介した通り、我々のギア選びのコンセプトは「軽くて小さいもの」を「必要最小限」です。理由は、以下の3点です。
- 収納や車の積載スペースが限られている。
- 登山のテント泊用と兼用したい。
- 準備・撤収の時間を短くしたい。
このため、今回紹介するテントと寝袋などでは、一般的なキャンプ用のものではなく、登山用のものを選択しています。
それでは、実際に購入したギアについて、以下に紹介していきます。
テント・タープ
モンベル:ステラリッジ テント4
圧倒的な軽量性
テント泊でも使用できる山岳仕様のテントです。レインフライ、ペグなどすべての付属品を含めた重量はわずか約2.0kgです。比較として、例えばコールマンの4~5人用テント「BCクロスドーム」が約10kgであることを考えれば、いかに山岳テントが軽いかがわかると思います。収納時サイズも小さいため、ハードコンテナ2つしか車に積むことのできない我々にとって重宝するテントです。
我々が購入したのは旧型であり、最新型とは展張要領が若干異なります(上記リンクはスリーブ式)。最新型はポールにテント本体を吊り下げる「吊り下げ式」であるのに対し、旧型はテント本体のスリーブにポールを押し込んでいく「スリーブ式」になります。旧型のスリーブ式は風に強い半面、レインフライとテント本体がくっつきやすく結露しやすいという欠点があります。新型の吊り下げ式は、テント本体とレインフライの間に空間が確保されるため、テント内の結露が発生しにくいという利点があります。
欠点は値段と低い居住性
欠点として、価格が高いこと、そして居住性が低いことが挙げられます。これは山岳テント全般に言えるでしょう。2023年3月現在、テント本体が47300円、別売りのレインフライが21500円です。これは、他のブランドであれば2ルームテントを購入できるくらいの価格でしょう。軽量性と堅牢性を両立させようとするため、仕方ないですね。
山岳テントのほとんどは狭いです。このステラリッジテント4も4人用ですが、それは頭と足を互い違いにして横たわればギリギリ4人が寝られるという意味です。実際、荷物などを中に入れ、そこそこ快適に眠ろうとすれば3人が限度です。我々は大人2人と幼児1名で寝ていますが、それでも狭いなと感じます。また、風の影響を回避するため天井も低くなっており、テント内で立つことは困難です。
キャンプ場における使用感
夜眠るだけに限れば、全く問題はありません。むしろ、軽いがゆえに設営も容易であり、慣れると一人で10分とかからず設営できます。これは、目を離せない幼児を抱えてのキャンプでは大きなメリットだと言えるでしょう。撤収も容易です。雨に濡れたとしても30リットルくらいのゴミ袋に収めてしまい、晴れた日に1日干していれば完全に乾きます。
このように、設営・撤収・手入れが簡単であることは大きなメリットであり、キャンプに行くことの心理的なハードルを大きく下げてくれました。個人的には、これが一番のメリットでした。
居住性については、就寝時にしかテント内にはいないため、さほど気になりませんでした。雨の日はタープを立てて、その下で過ごします。
別売りのグラウンドシートとテントマットを敷くことにより、テント本体への汚損を最小限にするととともに、地面からの底冷えを軽減してくれます。いずれも必須だと考えます。さらにオプショナルロフトがあれば、狭いテント内のスペースを最大限に活用できます。
どのようなキャンパーに山岳テントは適しているか
家族連れで山岳テントをキャンプ場で使用している人はほとんど見かけません。それはやはり、価格や居住性の問題があるのだと思います。それでも山岳テントをキャンプで用いることにはそれなりのメリットがあり、例えば以下のような人はキャンプに山岳テントを用いることを検討してもいいのではないかと思います。
- 家や車の収納スペースが限られており、大きなテントを持ちたくない。
- 山でもテント泊をしたいが、1つのテントで済ませたい。
- 車がないので、とにかく荷物は軽くしたい。
- 設営や撤収、メンテナンスが簡単なテントがいい。
- 寝るだけなので、居住性はさほど気にしない。
本記事で紹介した「モンベル ステラリッジテント4」とほぼ同等の性能を持つテントとして、アライテントの「エアライズ3」が挙げられます。別売りの冬用外張(フライシート)により冬季にも対応します。ステラリッジテントとの違いとして、底面がやや厚くなっているためグラウンドシートを必要としない点、スリーブ式である点が挙げられます。
モンベル:L.W.タープ ワイド
テントの居住性がイマイチな我々にとって、キャンプ場における生活空間を広げ、日差しや雨から守ってくれるタープは必需品でした。多くのタープが1kgや2kgを超える中、モンベルのL.W.タープ ワイドはわずか440gでした。
スタンダードな長方形(レクタ)タイプなので、様々な張り方ができます。我々は、テントの前室を拡張するようなイメージで、いわゆる「小川張り」という方法でテントに重ねる形でタープを展張しています。
なお、この「L.W.タープ ワイド」はポリエステル製のため火に弱いので焚火の際は注意が必要です。雨の日でもタープの下で焚火をしたいという方は、火に強いコットンもしくはポリコットン製のタープを選ぶと良いかと思います。いずれも重量は3~4kgと重く、ポリエステル性に比べてかさばります。
DOD コンパクトタープポール 太さ19mm
タープを展張するためのポールは、DODのツーリング仕様のコンパクトポールを購入しました。6本一組のポールが2セット入っており、それぞれ最大200㎝まで展張できます。我々はこの商品を2つ購入したので、つまり最大200㎝のポールが4セットになります。実際に200㎝まで高くするかは風次第ですが、タープを立てる際はポールを4本用意すれば空間を広げられます。2本しかないと前後は高く保てても、左右を低く落とさざるを得ないためです。開放感のある空間を得るためには、高めのポールを4本そろえることをお勧めします。
福善 打刀 20cm or 28cm
キャンプをしているといずれ突き当たるのがペグの問題です。ほとんどのテントに付属しているペグは、最小限度の強度しか持たないアルミのペグだと思いますが、キャンプ場の地形によってはこのアルミペグが刺さらない、または風が吹いた際にすぐ抜けてタープが倒れるといった問題に直面すると思います。
ペグが抜けることは、せっかく立てたタープを立て直す労力のほか、倒れたタープや引き抜かれたペグが人やテントを傷つけるというリスクを生みます。よって、ペグが抜けるという事態は極力避けなければなりません。そのためにはアルミペグに代わって、地面に突き刺さりやすく、かつ抜けにくいペグを用意する必要があります。
そこで登場するのが、スノーピークの「ソリッドステーク 30」に代表されるいわゆる「鍛造ペグ」です。鍛造ペグは1つ1つがスチールなどを鍛造して作られているため強度が高く、石混じりの固い地面でも確実に打ち込むことができます。長いほど固定力が増しますが、使用するシーンに応じて必要な長さを購入するといいでしょう。
こちらで紹介する福善は、岐阜県美濃加茂市にある刃物メーカーである福善が製造したステンレス製のペグです。スチール製ではありませんが高強度を誇り、高い耐食性があるため錆びにくいです。そして特筆すべきは、一般的な鍛造ペグの約半分となる約39g(20cm)という軽量性、そしてスタッキング収納が可能という省スペース性です。丈夫なペグが欲しいが重さや収納で悩んでいるという方は、検討してみてはいかがでしょうか。
なお、こちらの商品はふるさと納税の返礼品としても提供されています。
寝袋など
モンベル:アルパインダウンハガー800 #3
キャンプギアを登山用と兼用して揃えるにあたり、テントに次いで悩ましいのが寝袋です。山でテント泊をするにあたり、寝袋はバックパックに詰めて持っていく必要があるのですが、重量以上に問題となるのがその容積です。同じ性能の寝袋でも、化繊を用いた寝袋はダウンに比べて重量では2倍、容量はさらに大きくなる傾向にあるためです。
我々が持つモンベルの「アルパインダウンハガー800 #3」は旧モデルのダウンシュラフで、スペックは以下の通りです。使用可能温度は1℃とさほど温かくはないですが、下で紹介するマットやシュラフカバーと併用することで、氷点下のテント泊でも問題なく眠ることができました。
- 快適温度6℃/使用可能温度1℃
- 重量528g
- 収納サイズ∅13×26cm(3.0L)
サーマレスト:ZライトソルS
キャンプ場の地表は様々で、砂利や石が多い地形では寝袋の下に敷くスリーピングマットがあればより快適に眠れます。また、就寝中の寒さは地面に熱を奪われることによってもたらされるので、寒い時期のキャンプにはスリーピングマットが必須です。
スリーピングマットには、「クローズドセル」と「エアマット」の2種類に加え、両方の特徴を兼ね備えた「セルフインフレータブルマット」を加えた3種類に大別されます。こちらで紹介する「ZライトソルS」はクローズドセルに該当するマットです。利点としては、空気を入れる必要がなく、破損しても機能への影響が少ない点が挙げられます。欠点としては、容積がかさばる点です。
こちらのマットは、全長183㎝重量410gのレギュラーサイズと、全長130㎝重量290gのスモールサイズがあります。我々は登山にも携行するためSサイズを使用しており、足にはバックパックを敷くなどして足りない部分を補っています。スモールサイズは中々出回っておらず、購入の際はサイズ違いにご注意ください(下記のリンクはレギュラーサイズを表示しています)。
サーマレスト:ネオエアーXライト ウーマンズレギュラー
こちらは「エアマット」に該当するスリーピングマットです。エアマットなので手作業で空気を入れる必要があり、かつ穴が開いてしまえば役に立ちません。一方で、クローズドセルを超える断熱性と、ペットボトル程度まで小さくなる携行性、軽量性はテント泊における大きなメリットです。しかし、一般的にクローズドセルよりも値段は高くなります。
スリーピングマットの断熱性を測る指標の一つに「R値」というのがあります。厳冬期登山には5.0以上のR値が求められる(諸説あり)とされますが、こちらの製品はR値5.4を誇ります。R値2.0の上記クローズドセルマットと併用すれば、おそらくさらに高いR値を得られるでしょう。
注意として、こちらは全長168cmと小さめに作られている女性用モデルですが、通常モデルの「ネオエアーXライト スモール/レギュラー」はR値が4.2と劣るので注意が必要です(価格は同じ)。ただ、女性用モデルはほとんど市場に出回っておらず、たまに出品されていても高額に設定されています。そのような場合は、通常モデルの「ネオエアーXライト スモール/レギュラー」を検討するのが良いかと思います。
サーマレストのエアマットへの空気入れは付属のポンプサックを使って行うのですが、電動で入れてくれる「ネオエアーマイクロポンプ」という商品もあります。こちらを使えばある程度まで(7割?)は自動で空気を入れることができるので、複数のエアマットを使う場合に手間を減らせます。私は山に持っていくことはないですが、キャンプではよく使っています。
モンベル:キャンプシーツ
寝袋を洗濯するのはとても手間ですが、こちらのシーツを中に入れることで寝袋に直接肌が触れたり、汗が付着することを避けられます。単体でも使えるので、暑い時期のキャンプは寝袋を出さずにこちらだけ使ったりします。使うたびに洗濯機に入れて乾燥までできるので手入れが楽ちんです。
山小屋泊では布団を共有することが多いですが、この商品のようなインナーシーツの持参が推奨されています。私も必ず持っていきます。
ISUKA:ウェザーテック・シュラフカバー スーパーライト
特に寒い時期や雨の日のキャンプでは、テント内に結露が生じることがあります。ダウンシュラフは濡れると保温性が著しく落ちるので、濡れから守るシュラフカバーが必要になります。
シュラフカバーの必要性については、様々な意見があります。一部の寝袋、例えばモンベルの「ドライ シームレス ダウンハガー900」シリーズなどは、寝袋の表面にゴアテックス防水透湿素材を使用しているため、必ずしもシュラフカバーを必要としません。また、ツェルトをシュラフカバーの代用として用いるという人もいます。キャンプにおいても、たとえ濡れたとしても一泊であれば影響がないため、必要ないという意見もあります。シュラフカバーは保温性を高める効果もあるので、寒い時期にキャンプやテント泊をしたいが、寝袋の保温性能に不安があるならば持っておいても良いかもしれません。
この商品、ISUKAの「ウェザーテック・シュラフカバー スーパーライト」はISUKA独自の透湿防水素材ウェザーテックをベースにした、3層構造のシュラフカバーです。シュラフカバーには2層、あるいは2.5層構造のものもありますが、一般的にそのようなものは単独使用ができません(モンベルの「ブリーズ ドライテック スリーピングバッグカバー」など)。こちらの商品は3層構造のため単独で使用できます。つまり、それほど寒くない時期にはこのシュラフカバーを被ってしまえばそのまま眠れるというわけです。結構これだけで眠れてしまう時期も多いです。
モンベル:タイベック スリーピングバッグカバー
上記ISUKAの「ウェザーテック・シュラフカバー スーパーライト」の簡易版です。我が家では妻とジュニアの寝袋にはISUKAを使い、私は実験的にこちらを使っていますが、特に問題はありません。タイベックとは、米国デュポン社が開発した特殊な不織布で、ゴアテックスやウェザーテックほどではありませんが透湿性と撥水性を備えています。「単体での使用はできません」と商品説明にありますが、私は結構な頻度で単体使用しており、特に問題はありません。お手ごろな値段と軽さから、気軽に扱えるのが嬉しいです。最初のシュラフカバーとしておすすめです。
コンパクトなギアを求めるなら登山用品を
繰り返しになりますが、我々のギア選びのコンセプトは「軽くて小さいもの」を「必要最小限」です。テントや寝袋を選ぶうえでそのコンセプトを求めると、やはり行きつくのは登山用品になります。
登山用品を選ぶことは、軽量コンパクトである反面、価格が高く、居住性がイマイチというデメリットがあります。特にテントはかなり小さく作られているので、快適な空間を求めるならばレジャー用の大きいテントを買う、もしくは大き目のタープを併用して居住空間を広く作るといった工夫が必要になるでしょう。もちろん、その分ギアは大きくなり、設営にも時間がかかるようになります。
コンパクトさと快適さはトレードオフの関係にあるため、自分が求めるキャンプスタイルに応じてギアを選ぶことが重要ですね。
次回記事では、焚火・調理関連のギアについて紹介します。